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エスノグラフィー調査 とは? 調査の流れやメリット・デメリットを解説

マーケティングにおけるエスノグラフィー調査とは、ターゲット目線で商品やサービスのニーズを理解するために、調査対象とする人・集団と一定期間生活を共にする調査のことを指します。

本来「エスノグラフィー」は社会学や人類文化学など学術的分野の用語であり、エスノグラフィー調査とは、対象の民族や部族と生活を共にして彼らの文化への理解を深める手法のひとつです。

近年は、この手法がマーケティング業界において注目され、有名企業や大学がエスノグラフィー調査導入の先駆けとなり、調査会社も一層力を入れ始めています。

今回はマーケティングにおけるエスノグラフィー調査の特性を、理解・活用するために、

  • ・エスノグラフィー調査の概要
  • ・エスノグラフィー調査の流れ
  • ・エスノグラフィー調査を行うメリット・デメリット
について、解説します。

エスノグラフィー調査の概要

マーケティングにおけるエスノグラフィー調査とは、調査対象とする人・集団と一定期間生活を共にすることで、調査対象の生活習慣を五感で理解する調査です。
ターゲットと同じ目線に立って行動を詳細に観察し、問題やニーズの発見に努めます。 また、調査で得られた情報は、商品・サービスの開発および改善に活かすこともできます。

エスノグラフィー調査の流れ

調査内容によって様々ですが、基本的なエスノグラフィー調査の流れは以下の通りです。

仮説立て

まず、顧客データや売上データなどを用いて、調査対象についての仮説を立てます。
この仮説立てが、非常に重要で、エスノグラフィー調査の成否を左右するといっても過言ではありません。
なぜなら、「仮説立て」はユーザーの比較対象としての役割を持っているため、仮説立てがないと、調査対象者と単に生活を共にするだけになり、ニーズが発見できません。

Who  どんなユーザーが
Why  どんな目的で
When  どんなタイミングで
Where どんな場面で
How  どのように
What  何を利用・見聞・思考するか

これらの仮説は、調査対象者と行動を共にする際、フィルターとして有効に働きます。
仮説の5W1Hと実際の5W1Hを、視覚的・感覚的に比較しながら把握することができるでしょう。

調査対象者の選定

エスノグラフィー調査において、調査対象者の選定は特に重要です。
通常のマーケティング調査では、いわゆる「一般的な考えをもったユーザー」を調査対象者とする場合がほとんどです。

しかし、エスノグラフィー調査では「エクストリームユーザー」が重要視されることも多くあります。

エクストリームユーザーとは、商品やサービスに対して良い意味でも悪い意味でも極端(=エクストリーム)な思考を持つユーザーを指します。
具体的には、一般ユーザーと比べて商品の消費量が膨大であったり、開発者も思いつかないような使い方をしているヘビーユーザー。また、個人的な理由により、商品を絶対に使用しないアンチユーザーがそれに当たります。

エクストリームユーザーになった過程や彼らの深層心理から得られる仮説は、多数を占める一般ユーザーにも当てはまります。

これは、花王が行った「エイジング」についてのエスノグラフィー調査によって明らかになりました。

【事例】
花王は、半年間にわたって「アンチエイジング(抗加齢)に関する消費者の考え方や行動理由を理解すること」を目的としたエスノグラフィー調査を実施。

エクストリームユーザーとして、
「白髪染めをやめた40代女性」
「糖尿病を患う男性」
「老婆役が得意な20歳の女優」
を選定しました。

調査の結果、ユーザーの「エイジング(加齢)」に対する認識は、仮説と実際で以下のような違いがありました。
調査前の仮説:年を重ねる時に感じるもの
調査後の仮説:“結婚”“病気”など人生を変える何らかのきっかけがあったときに感じるもの

これにより、「アンチエイジング」におけるユーザーへのアプローチも変化しました。

調査前のアプローチ:年齢を基準として身体に現れる加齢を最小限にするサポート
            例)実年齢より〇歳若く見せる

調査後のアプローチ:これまでと異なる状況に置かれた人の新たな世界を広げるサポート
            例)出産後の体形を元に戻す

花王は、一般ユーザー数名の自宅へも訪問調査して、エクストリームユーザーから得られたこれらの上記の仮説は一般ユーザーにおいても適用されると結論づけました。

引用:日経XTECH「消費者調査にエスノグラフィー手法を導入

つまり、エスノグラフィー調査は、エクストリームユーザーを調査対象者とすることで、これまで見えなかった潜在的なニーズを炙り出せるということです。

なお、エクストリームユーザーを調査対象者とするには、スクリーニング(※1)、リクルーティング(※2)といった段階を踏む必要があります。

※1)スクリーニング…特定の条件に当てはまるモニターを絞り込むこと
※2)リクルーティング…調査会社が主体的にモニターにオファーすること


調査会社には多数のモニターを保有しており、スクリーニングにおけるスキルも長けていますので、調査対象者の選定には調査会社への依頼が必須でしょう。

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実査

調査を行うことをマーケティング用語で「実査」と言います。

エスノグラフィー調査は、自宅を主とした、調査対象者の私生活の環境に調査員が身を置いて行動観察を行います。
調査会社によっては、定点カメラやウェアラブルカメラ(頭などに取り付けユーザー視点で観察できる)を使用して写真や動画を撮影します。

現場の調査員の発見、それらの映像を見た他の調査員の発見を仮説と照らし合わせ、グループワークやディスカッションを重ね、結論を導き出します。
なお、1回目の調査対象者がエクストリームユーザーであれば、結論を新たな仮説とし、一般ユーザーの調査を重ねるケースも出てくるでしょう。

分析・レポート作成

調査結果は、必ずレポートに起こします。
エスノグラフィー調査で得られる回答は、言語や行動による定性データですので、数値化できる定量データとは異なり、集計・分析が難しく、レポート作成には技術と経験を要します。

例えば、言語回答を数値に置き換える「アフターコーディング(※3)」という専門的な処理をして集計する必要があります。

※3)アフターコーディング…自由回答の中から類似の回答をまとめ上げてカテゴリーに分類し、少数の選択肢に絞り込んでいく。定性情報を定量化することで集計をしやすくする手法。

エスノグラフィー調査のように、定性調査が主体となる調査においては、集計・分析もより専門的な知識やスキルを要します。調査会社によっては、集計ツールを提供している会社もありますので、一度、自社の調査目的においてどんな集計や分析が必要なのか、相談してみるのもいいでしょう。

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エスノグラフィー調査のメリット

これまでの解説から、エスノグラフィー調査を行うメリットは以下の2つです。

① ユーザーの日常に潜む潜在的なニーズを発見できる
② インタビューやアンケート等で起こり得る“回答者が無意識に本音を隠す”などのバイアスを排除できる。

エスノグラフィーはデプスインタビューと比較される場面が多くあります。
デプスインタビューも、回答者の言葉や行動を観察する定性調査ではありますが、あくまでもインタビューという体制をとっているため、回答者が無意識のうちに本音とは異なる“作られた回答”をする可能性もあります。

エスノグラフィー調査のデメリット

エスノグラフィー調査におけるデメリットは、以下の2つです。

① リクルーティング、調査員・録画機器の調達など、手間とコストがかかる。
② しっかりとした仮説とスキルのある調査員がいなければ成り立たない。

エスノグラフィー調査は「録画機器さえあれば手軽にできる」と考える方もいるようですが、それは誤りです。エスノグラフィー調査を成り立たせる要素として重要なのは“仮説”と“調査員の技量”です。そのため、エスノグラフィー調査を成功に導くには、知識と経験が豊富な調査員の力が欠かせないでしょう。

まとめ:エスノグラフィー調査でリアルなユーザー視点に立ち、隠されたニーズを発掘しよう

エスノグラフィー調査は、ユーザーの生活環境に実際に身を置くことで、真のユーザー目線に立ち、商品やサービスの利用状況を五感で把握することができます。

通常のインタビューやアンケート調査では決してない気づきを得ることができます。新たなニーズを発見して一気に市場のトップへ上り詰めるために、エスノグラフィー調査はぜひ活用したいところです。

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